東海第二原発の稼働は不要不急であり、一般市民に不安な生活を強制する重大な人権侵害です

2021/05/30

原子力、東海第二原発、東海再処理

1.原発で大きな事故が起こるかも知れないからこそ、避難計画を作るのです。

東海第二原発は市街地にある老朽原発であり、大きな事故が起こるかも知れないと、誰もが考えるからこそ「広域避難計画」を作ろうとしています。「避難計画を作る必要はない。」という人はいないでしょう。

 

2.無事に避難できるような広域避難計画は作れません。

東海第二原発は、あらゆる事態を想定して、市民が無事に避難できるような「広域避難計画」を事前に準備することはできません。事故が起こってから避難すれば、人は必ず被ばくし、被害を受けます。屋内退避は多少効果があるかも知れないが、何れにしても、100万人規模の一般市民が放射線で被ばくし、また、放射性物質を吸い込む可能性は非常に高いことは変わりません。


また、何とか逃げることができたとしても、弱者の災害関連死や健康の悪化、認知症の増加などがはっきり確認されており、想像を絶する規模の被害が発生します。避難計画の「実効性を改善してゆく」などというのは曖昧で、何の基準もなく、どうにでもなります。大きな問題を小さく見せかけて、原発を運転しようとするごまかしです。

 

3.東海第二原発は市街地にある老朽化した原発です。

しかも、老朽化した東海第二原発では、技術的に観て大きな事故が起こっても何ら不思議はありません。安全審査は原発の安全性を紙の上で形式的に確認しただけです。現場に設置されている実際の施設や設備を検査して、安全性を確認した訳ではありません。


原子炉施設のうち、実際に現場で補修や交換、検査ができるのは、全体のほんの一部分だけです。人が近づけないとか、遠隔操作カメラが入らないようなところは、本当は補修や交換、検査が必要なのに、どれも実施できません。こうしたところで、不具合が発生すれば、大きな事故に繋がることになります。


また、東海第二原発の近くには、東海再処理施設があります。ここでは、地下の300m以上深い地層中に処分すべき「高レベル放射性廃液」が、液体のままでタンクに保管しています。これが流れ出したり、冷却できなくなれば、直ちに大量の放射能が環境へ放出され、広い地域が汚染されて、人は近づけなくなります。

 

4.多くの市民が事故の不安を抱えた生活を強制されるのは、重大な人権侵害です。

東海第二原発の運転が強行されれば、市民が自らの生命、財産、生活を維持できない可能性があります。多くの市民(国民)が、長年に亘って事故に対する不安を抱えたままの生活を強制されるのは、重大な人権侵害であると考えられます。これでは、安全どころか安心さえもありません。


香港やミヤンマーではなく、現在の日本において、公然とこうした人権侵害が行われようとしており、これは驚くべきことです。

 

5.選挙投票を通じて、地方行政を庶民の手に取り戻し、原発の運転を止めよう。

東京電力や原発メーカなどの大企業やその労働組合が、自らの組織を維持し、利益を確保するために、組織力で政治を動かし、国民のためと言いながら安易に原発を稼働させようとしています。


ひとり一人の市民が安心して日常を送るために、9月の茨城県知事や各市長、村長、議会議員の選挙では、原発の運転にはっきり反対する候補者に投票し、地方行政を一般市民の手に取り戻しましょう。そして、原子力安全協定に基づいて、東海第二原発の運転を阻止しましょう。


2011年の福島第一原発事故によって、すべての原発が運転を停止しましたが、その後の10年間は、一度も電力不足になっていません。国内の電力需要は確実に減少しつつあります。


東海第二原発の運転は全くの「不要不急」です。国を挙げて、発電手段の多様化を本気で確実に進めれば、危険で処分の目途がたたない放射性廃棄物の発生を止めることができます。