東海再処理施設における高レベル放射性廃液の保管状況

2020/10/11

原子力 東海再処理

東海再処理施設における高レベル放射性廃液の放射能・保管量など

現在、約400立方メートルの高レベル放射性廃液が、6基の大きな貯槽(このうち、1基は予備)に分けて保管されています。今後、再処理主工程の設備内に残っている溶液等の取り出しや、設備内部の洗浄などによって、新たに廃液が発生してくるので、今後も廃液を濃縮する蒸発缶などの設備を維持しなければなりません。

(出典:東海再処理施設(TRP)におけるプルトニウム溶液及び高放射性廃液の固化・安定化の実施について、平成26年(2014年) 3月13日、日本原子力研究開発機構)


高レベル放射性廃液を保管している貯槽や関連設備の概要

 各貯槽は厚さ22mmのステンレス製の扁平な円筒型で、容量は120立方メートルです。貯槽本体や冷却配管などは随所に溶接線のある構造であり、貯槽上部には外部と接続する配管が30本以上あります。

 高レベル放射性廃液は、放射線によって発熱します。2013年8月5日現在で、貯槽内の放射能量は4.2×10の9乗GBq、全発熱量は343kW、発熱密度は約0.84kW/立方メートルです。

 このため、貯槽内には9系統以上の独立した冷却水コイルが通っており、貯槽の外部から冷却水を循環させて廃液を常に冷却しています。貯槽下部の外側にも冷却水ジャケットがあります。また、放射線によって水が分解して水素ガスが発生するので、水素爆発を避けるために常に貯槽内へ空気を送り込んで希釈・排出しています。さらに、貯槽内で白金族元素等が沈殿しないように、貯槽の中央に設置したパルセータによって、定期的に廃液を圧空で撹拌しています。

 各貯槽はコンクリートセル内に1基ずつ設置され、16本のステンレス製ボルトでセル壁に固定されています。

 

(出典:東海再処理施設における高放射性廃液のガラス固化について、平成27年12月17日、日本原子力研究開発機構)

(出典:高放射性廃液貯蔵場(HAW施設)高放射性廃液貯槽(272V31V36)の据付ボルトのせん断強度試験について、第40回安全監視チーム会合、原子力規制委員会)


 さらに、高レベル放射性廃液の保管施設では、再処理主工場やガラス固化施設との間で廃液をやり取りするため、中間貯槽や廃液を移動させる分配器、貯槽の排気系統の途中にある水封槽などと配管で接続されており、また、セル内に廃液が漏えいした場合に回収するための配管が設置されています。

(出典:再処理施設に係る廃止措置計画変更認可申請書の一部補正について、令和2年5月29日、日本原子力研究開発機構)

 

東海再処理施設における高レベル放射性廃液の日常管理

 廃液の貯蔵状態は、毎日液量を記録し、異常の有無を確認しており、特に、廃液貯槽は、崩壊熱除去のための冷却水流量、不溶解残渣を懸濁するための撹拌空気の圧力及び水素掃気用の圧縮空気の流量を、毎日確認・記録している。

 貯槽の健全性を直接確認するのは困難であるため、セル漏えい検知装置や漏えい液の移送装置が正常に作動すること、ドリップトレイを目視等により確認しているとのことです。

JAEA-Tech-2014-032再処理施設の定期的な評価報告書、日本原子力研究開発機構、p.127